1989年june/6月・創刊号より

 〜大名のお毒味指南/ザリガニ編〜

 Crayfish(クレイフィッシュ)って知っとるけ?ほらほら東京からちょっと離れた川とか沼にいるあれだよ。えびがに!そうそうアメリカザリガニのこと。アメリカの船にへばりついて、はるばる日本に帰化しにやってきた、とても丈夫な生き物だ。でっけーはさみに、まっかっかな身体。...そういえば「まっかちん」っていうあだ名もあるんだぜ。どぶ

川だって生きのびてしまうくらい生命力は、スサマジイ。脱皮もするし、異常繁殖も平気でする。おまけに田んぼを荒らしてしまうから、お百姓さんの間では時として嫌われものなんだ。ときどきPOW!のメンバーを連れて(特に小田原ちょうちん君)ザリガニ捕りをしに行くんだ。たこ糸でつるした「すいか」が一番よく釣れる。果物のすいかじゃないぜ。駄菓子屋で売ってるくしざしの「すずけいか」のことだよ。(さきいかより、こっちのほうが匂いがキツイのでいい)...さあ...それでは夏の晴れた日に車、バイク、自転車を飛ばして〜Let's goザリガニ捕り〜...どうだい?大漁かい?最近、東京のお祭りや縁日じゃ売ってるし、こないだ六本木の駅じゃ水族館みたいに展示してあった。何やっとるんじゃー。あれは見るもんじゃない。あんなおいしいもの。...「ゲロゲロー信じられない、わ・た・しー」そんな事いわないでよ娘さん、カルビーのカッパえびせん食べてるじゃないか?...あれは最高の食べ物のひとつだよ。わるいけど、私の知識を皆様に「おすそわけ」しようじゃないか。この文を読んだ商売上手の人は、さっそく六本木あたりにザリガニ専門店でもオープンするんじゃないかな?「そんなことはないよ...」誰だね!そんな事いってる奴は?オーストラリアじゃ養殖してるし、アメリカ・ニューオリンズあたりじゃ名物料理。フランス料理、中国料理にだってあるんだぜ。日本でも戦時中や、特に終戦直後は、みんな食べていたんだ。お父さんやお爺さんに聞いてみなさい。(でも関東の人だよ)...とにかく...遊ぶならいいけど...食べる決心のついた場合は次のことに気をつけよう。1>田舎のものでなくてはいけない。2>近くに養豚場などはないか?3>工場が周りにないか?...この点に注意して、さらに農薬がまかれる前の方が絶対いい。この条件を満たすところ、みんなで探そうぜ。まあ少しぐらいなら汚くても東京の薬づけの水をみんな飲んでいるんだから平気へいき。さあ...勇気をだして「しっぽ」だけを抜き取ろう。ザンコクーなんて思わず、来たるべき食料難にそなえて、こんなに栄養のあるもんないぜ。さらに皮をむいて、すじみたいなやつも取ったら塩をたっぷり「おきよめ」に入れたお湯で泳がせよう。さっとゆでればでき上がり。冷凍しとけば、いろんな料理に便利だし、そのままマヨネーズなんかつけて、ヴィデオ見ながら食べるのが当世風ですよ。...さてさて幸福のおすそわけはこれからだ。みんな板前さんの服を買ってきて、政治家や大会社の社長のいく料亭まで売りに行こう。これこそ究極の商いになること請け合いだ。一気にザリガニの株譲渡の嵐が、内閣に吹き荒れる。「昔はみんな、食べれなかったから大変だった」などと、ありがたいお言葉を頂戴するわ、懐かしくて涙ぐんで喰らいつくだろう。とりあえずザリガニ保護団体はないから右から左まで安心してどうぞ。.......「アメリカ・ザリガニのしっぽに喰らいつけ!」.......どうだい、強力な後ずさりできた!?

                               <大名>

*久しぶりに読みました。時代を感じます。当時はバブル崩壊を予期する奴が少なすぎました。バンド・ブームなんて何だったんでしょうか?ザリガニもグルメ(この言葉の響きは今でも好きじゃない..)ブームのおかげ?ですっかり食材として認知されたようです。毎年、上海に行きますがザリガニ料理も見つけにくくなってきました。そしてマジなものを見つけようとすると、結構高いのです。蘇州あたりまで行けばわりと安いので、個人旅行の機会があればためして欲しいです。その時は毒消し用に、「香酢を持ってきて」と言いましょう。よりおいしく食べれます。ザリガニは本来、牛蛙・養殖用のエサとして輸入されたらしく、そいつが逃げ出して大繁殖したようです。蛇頭もこれに習って、エサを本土から輸入する時期がきたのでは?NEW ASIAのために...<Daimyo2000/9/29>

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